日本:特許庁、森永製菓「パリパリバー」アイスクリームの形状は、商標としての自他識別力が認められず

[Newsletter vol. 167]

特許庁は、12月6日、森永製菓株式会社のチョコレートをマーブル状に配した円柱状の棒付きアイスクリーム「パリパリバー」の形状について、指定商品「アイスクリーム」との関係において、本来的に自他識別力を有しておらず、また、使用による特別顕著性も認められないとして、当該形状に係る商標(商願2019-101595)の登録を拒絶する審決を下しました。

[不服2021-13072号審決、審決日:2022年12月6日]

商願2019-101595

 森永製菓株式会社は、2019年7月26日、下掲の図形商標を第30類商品「アイスクリーム」を指定して、特許庁に出願しましたが、『本願商標は、その指定商品との関係において、チョコレートをマーブル状に配した棒付きのアイスクリームを写実的に描いたものと容易に理解される図柄からなる。アイスクリームを取り扱う業界においては、チョコレートをマーブル状に入れたアイスクリームや、マーブル模様のアイスクリームが、一般に多数製造・販売されているから、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者は、単に「チョコレートをマーブル状に配した棒付きのアイスクリーム」であることを認識するにすぎず、本願商標は、商品の形状、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる』として、商標法第3条第1項第3号により拒絶したため、これを不服として、2021年9月29日、拒絶査定不服審判を請求しました。


特許庁の判断(拒絶審決)

 しかしながら、特許庁審判官は原査定を支持し、以下の理由により、本願商標の登録は認められない、と判断しました。

1.商標法第3条第1項第3

 本願の指定商品であるアイスクリームを取り扱う業界においては、円柱状の棒付きアイスクリームが販売され、チョコレートをマーブル状に配したアイスクリームが複数存在している。そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、「チョコレートをマーブル状若しくは層状に配した円柱状の棒付きアイスクリーム」という商品の形状、品質を表したものと理解させるにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはできない。

2.商標法第3条第2

 本願商標はアイスクリームが1本に対して、使用商標は複数本であり、アイスクリームの本数が異なることから、両商標は明確に異なるうえ、本願商標はアイスクリーム部分から棒の部分の端まで把握できる棒付きアイスクリーム全体の態様であるのに対して、使用商標は棒の部分が途中で切れていたり、アイスクリーム部分の途中で切れていて棒の部分が確認できない又はアイスクリーム部分に他の文字や図形が重なっている等、棒付きアイスクリーム全体の図形ではない点において明らかに異なり、1本の棒状アイスクリームが単独で自他商品の出所識別標識としての機能を発揮しているとはいい難い。

 したがって、使用商標は、出願商標の使用とは認められず、本願商標が使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至った商標であると認めることはできない。