「世界が注目した日本の商標ニュース2022」トップ10

[Newsletter vol.166]

今年、マークス英語ブログサイト「JAPAN TRADEMARK REVIEW」に掲載した日本の商標(法改正、審決・判決等)に関するニュース記事(計51本)の中で、海外からの反響・関心が高かったトップ10をご紹介します。


第1位:ルブタン「レッドソール」不競法裁判/東京地裁平成31年(ワ)第11108号判決

東京地方裁判所は、商品に関する表示が複数の商品形態を含む場合において、その一部の商品形態が商品等表示に該当しないときは全体として不競法2条1項1号にいう商品等表示に該当しないところ、赤色は、ファッション関係においては国内外を問わず古くから採用されている色であり、女性用ハイヒールにおいても原告商品が日本で販売される前から靴底の色彩として継続して使用され、一般的なデザインとなっているとして、ルブタンの靴底の赤色(レッドソール)について、不競法の商品等表示には該当しないと判断しました。


第2位:「LACOSTE」vs「OCOSITE」異議申立/異議2020-900312

特許庁は、図形部分と文字部分とを常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない特段の事由もなく、図形部分と「LACOSTE」の文字は独立して自他商品の識別標識としての機能を有するとして、本件図形部分と引用商標の図形部分とを比較してみれば、両者の類似性の程度は相当程度高いことから、本件商標はLACOSTEとの間で出所混同のおそれがあるとして「OCOSITE」商標の登録を取り消しました。


第3位:PUMA「フォームストライプ図形」異議申立/異議2020-900284

特許庁は、PUMAフォームストライプ図形は、PUMAの業務に係るスポーツシューズを表すものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていることを踏まえ、本件商標はこれを反転したものであるかのごとき印象を与える場合も少ないないこと、スポーツ用品及びファッション業界においては、しばしば商標がワンポイントマークとして小さく用いられる上、商標の位置や向き等を変えた様々なパターンの商標を商品に付して使用している実状が伺えることから、混同のおそれがあるとして本件商標の登録を取り消しました。


第4位:ルブタン「レッドソール色商標」拒絶審決/不服2019-14379

特許庁は、ハイヒール靴底の赤色商標について、ルブタンの店舗が所在する東京、名古屋、大阪の在住者であっても、色商標からルブタンを認知できる女性は50%に満たない程度であって、残りの半数以上は本件ブランドとの関係を想起できていないことを踏まえ、ルブタンの使用による特別顕著性は認められないとして、商標登録を拒絶しました。


第5位:「GUCCI」vs「CUGGL」異議申立/異議2020-900284

特許庁は、ペインティングで文字の底部を隠した「CUGGL」は、「GUCCI」と出所混同のおそれなしと判断しました。


第6位:「ギター立体形状商標」登録審決/不服2021-650016

特許庁は、本願商標が、楽器のギターのボディをモチーフにしたと思しき形状の建築物と認識される場合があるとしても、本願指定役務との関係において、宿泊施設や飲食物の提供を行う店舗又は建物の一形態を表したものとみるのは困難というべきであり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると判断し、拒絶査定を覆しました。


第7位:「Superman」vs「SUPER M.E.N.」異議申立/異議2021-900257

特許庁は、「Superman」と「SUPER M.E.N.」は、「スーパー」の音につづく「メ」と「マ」という音に相違を有するところ、少ない音数にあって、上記の音の相違が称呼全体に与える影響は小さいとはいえず、称呼において相紛れるおそれがあるということはできない、また、外観、観念のいずれにおいても相紛れるおそれはない非類似の商標と判断しました。


第8位:「NIVEA」vs「NYFEA」異議申立/異議2021-900350

特許庁は、「NIVEA」と「NYFEA」は、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標と判断しました。


第9位:「ZARA」vs「ZARAHA」異議申立/異議2021-900373

特許庁は、「ZARA」は被服の分野を超えて、「化粧品」及び「美容・エステティックに関する役務」において我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないとして、「ZARA」と「ZARAHA」の類似性が極めて低く、出所混同のおそれはない、と判断しました。


第10位:エルメス「包装パッケージ色商標」拒絶査定

特許庁は、エルメスの包装箱の橙色と茶色の組み合わせからなる色商標について、箱中央の目立つ位置又は包装用リボン上に「HERMES」の文字及び馬車と人を描いた図形が常に共に用いられていることを踏まえ、色彩が独立して自他識別機能を発揮していないとして拒絶しました(不服審判係属中)。