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知財高裁判決:商標「EMPIRE STEAK HOUSE」は「EMPIRE」と類似しており、登録は認められない

2019年12月26日、知的財産高等裁判所は、国際登録第13511341号商標「EMPIRE STEAK HOUSE」は先行登録商標「EMPIRE」と類似するとして登録を拒絶した特許庁の判断を支持する判決を言い渡しました。[令和1(行ケ)10104]

EMPIRE STEAK HOUSE

本件は、第43類役務「レストラン」等を指定する国際登録第1351134号商標「EMPIRE STEAK HOUSE」(以下、本件商標)の所有者RJJ Restaurant社(以下、原告)が、特許庁の拒絶審決(審判番号:不服2018-650052)を不服として、知財高裁に審決取消訴訟を提起したものです。

2010年創業、NYで人気のステーキレストラン「エンパイアステーキハウス」は、2017年10月に海外初となる店舗を六本木にオープンする前に、本件商標をマドプロ経由で日本に出願しました。

知財高裁の判断

原告は、原告のレストランを紹介する各種のインターネット記事において、「EMPIRE STEAK HOUSE」又は「エンパイアステーキハウス」と文字部分全体で呼ばれていること、「エンパイアステートビル」や「帝国ホテル」といったように「EMPIRE」が他の文字と結合して使用することによって独自の観念を有すること、さらに、本件商標の構成において牛の絵が需要者、取引者に強い印象を与えることを踏まえ、本願商標から「EMPIRE」の文字部分を分離して観察することは不自然であり、第43類指定役務「レストランにおける飲食物の提供」との関係において当該文字部分を要部として抽出することはできないから、「EMPIRE」の文字部分と登録第584647号商標「EMPIRE」(標準文字、以下、引用商標)とを比較して、商標そのものの類否を判断した原審の判断は妥当でない旨主張しました。

しかしながら、知財高裁は、以下のように述べ、最高裁が判示した基準に照らし、本件商標から「EMPIRE」の文字部分を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して商標そのものの類否を判断することは許されるとの見解を示しました。

  1. 我が国において、「STEAK HOUSE」の語は「ステーキ専門店」を表す語として一般に用いられており、店名の一部に含まれる場合には、上記語を除いて当該店名が略称され得る。
  2. ステーキハウスを含む牛肉料理を提供する店舗において、食材である牛をモチーフにした図形が広く一般的に用いられているため、本願商標に接した需要者は、牛の図形部分からステーキ専門店で提供される食材表示との印象を受ける。
  3. 外観上、本件商標の各構成部分は、それぞれ独立したものとの印象を与え、不可分的に結合しているとは認められない。
  4. 本願商標の要部である「EMPIRE」の文字部分と引用商標は紛らわしいものといえ、両商標の役務は同一又は類似することから、本件商標は商標法4条1項11号に該当する。

<<判決文は、こちら>>