「世界が注目した日本の商標ニュース2021」トップ10

[Newsletter vol.142]

 今年、マークス英語ブログサイト「JAPAN TRADEMARK REVIEW」に掲載した日本の商標(法改正、審決・判決等)に関するニュース記事(計51本)の中で、海外からの反響・関心が高かったトップ10をご紹介します。


第1位:エルメス「バーキンバッグ形状模倣」侵害訴訟/知財高裁令和2()10040

知財高裁は、侵害品とエルメス・バーキンバッグとの外観上の類似性を認め、中古品市場における混同の可能性が具体的に存在するとして、バーキンバッグの模倣品を販売した業者に対し、290万円の損害賠償を命じました。


第2位:シャネル「COCOvsCOCOMIST」異議申立/異議2020-900047

特許庁は、シャネル「COCO」の香水における周知性を認めつつも、両商標は外観、称呼、観念において相紛れるおそれのない非類似の商標と認定し、「COCOMIST」とは誤認混同のおそれなしと判断しました。


第3位:シャネル「CC図形」vsGONNA GETCHAGG図形」異議申立/異議2019-900284

特許庁は、「GONNA GETCHA」GG図形商標は特定の観念を生じないのに対し、CC図形商標からはシャネルのブランドとしてのマークの観念が生じるものであるから、観念においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、誤認混同のおそれなしと判断しました。


第4位:ディズニー「ミッキー・シルエット」vs「月化粧・三ツ丸図形」異議申立/異議2021-900006

特許庁は、ミッキー・シルエットが需要者の間に広く認識されていると認めながらも、月化粧の三ツ丸図形は、一つの円の下部に2つの円が結合されたものとみるのが自然であって、特定の物や事象を連想、想起させることなく、特定の称呼及び観念を生じないとして、ミッキーとは誤認混同しないと判断しました。


第5位:JAGUARvsLike a Jaguar」異議申立/異議2020-900165

特許庁は、本件商標からは「ジャガーのような」の観念が生ずる一方,引用商標からは「ジャガー」の観念が生じることから、両商標は観念において相紛れるおそれはないとして、商標非類似及び誤認混同のおそれなしと判断しました。


第6位:COSTA COFFEEvsCaffe la Costa」異議申立/異議2020-900137

特許庁は、「海岸」等の意味を有するイタリア語「Costa」の文字は、我が国において馴染みのない語であり特定の観念を生じない一種の造語とみるのが相当であるとして、両商標はいずれも特定の観念を生じず、比較できないことから、両商標は非類似と判断しました。


第7位:ドルチェ&ガッバーナ「DolcevsDolceSport」異議申立/異議2020-900206

特許庁は、「Dolce」の文字は「Dolce&Gabbana」の著名な略称とはいえず、また、創業者ドメニコ・ドルチェ氏の略称として著名になっていたということもできないとして、「DolceSport」との誤認混同のおそれを否定しました。


第8位:グレンフィディック「鹿図形」vsBLACL FOREST・鹿図形」異議申立/異議2018-685017

特許庁は、両商標の鹿図形について、牡鹿に特有の大きな角、目、鼻、口、耳、首部分の模様などの構成要素がほぼ同じ位置に同じ態様で描かれ、構成の軌を一にし、外観において近似した印象を与え、また、「牡鹿」の観念において共通することから、両商標は類似の商標と判断しました。


第9位:「FS12」拒絶査定不服審判/不服2019-650019

特許庁は、「FS12」の文字は、単に、商品の品番、型番、等級等を表すための記号、符号の一類型を表示したものと理解するにとどまるため、極めて簡単かつありふれた標章のみからなる商標に該当する、と判断しました。


10位:ARIANA GRANDEvsArianna」異議申立/異議2020-900051

特許庁は、アリアナ・グランデが米国の女性歌手として広く知られているとしても、その略称として「アリアナ(Ariana)」の文字が広く知られているとまではいえないとして、「Arianna」と「ARIANA GRANDE」とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と判断しました。