[Newsletter vol.139]
2021年10月4日、ペルー公正競争・知的財産保護庁(INDECOPI)の知財専門部(Chamber)は、ルイヴィトン社のLV図形商標の登録取消の決定を覆す判断を下しました。[事件番号:1239-2021/TPI-INDECOPI]
問題となった、ルイヴィトン社のLV図形商標(ペルー商標登録第193340号)は、第4類の商品「工業用油・グリース,潤滑剤,燃料,エンジン用ガソリン」他を指定していました。
2020年7月10日に、アルゼンチン法人Ypf S.A.が当該登録商標に対して取消審判を請求しました。
これを受け、ルイヴィトン社は、LV図形商標はエレガントでお洒落な高級品との関係において有名となっていることを裏付ける証拠資料を提出し、世界で最も価値のあるブランドの一つであることから、登録の取消は免れ得ると反論しました。しかしながら、INDECOPIの商標局は、ルイヴィトン社のLV図形商標の有名性は、本件の取消審判とは関連がなく、ルイヴィトン社が要証期間における当該商標の現実の使用を裏付ける証拠資料を提出しなかったとして、LV図形商標の登録を取消す旨の決定を下したことから、ルイヴィトン社は当該決定を不服として知財専門部に申し立てました。
専門部は、商標局の決定について、LV図形商標の有名性に関する議論を十分に分析しないまま登録を取消したことは誤りであるとして、アンデス共同体裁判所の先行判例(269-IP-2016, 458-IP-2017)に言及し、有名性が認められた商標の場合、商標を現実且つ実際に使用する原則は適用されず、商標の保護を求めるアンデス共同体の加盟国において使用されていないとしても、それによって、その有名性は否定されないと述べ、ルイヴィトン社に有利な判断を下しました。
専門部は、有名商標が絡む事案においては、商標の取消及び使用証拠に関する規則の適用を調整すべきであり、有名商標の登録は、不使用によって取り消すことはできない、との見解を示しました。その理由として、たとえ、登録が取り消されたとしても、それによって、有名商標との誤認混同やダイリュージョンのおそれが認められれば、取消申請者の商標を登録できることにはならず、むしろ、排除されることになる。
以上により、LV図形商標の有名性に関する議論を商標委員会が分析する必要があることを踏まえ、専門部は、ルイヴィトン社の不服申し立てを認め、商標局の下した登録取消の決定を覆し、再度審理を行うよう、命じました。
判決文(スペイン語)は、こちら。