[Newsletter vol.137]
東京地方裁判所は、2021年9月3日、株式会社シーオーメディカルの「ふんわりルームブラ」と酷似するナイトブラの販売が、不正競争防止法2条1項3号の商品形態模倣に該当するかが争われた裁判事件で、販売業者に対し、2億円を超える損害賠償を命じる判決を言渡しました。
[令和元年(ワ)第11673号 差止請求等請求事件]
株式会社シーオーメディカルは、平成28年9月12日、「ふんわりルームブラ」の商標を付した、女性が特に夜間の睡眠中に着用することを目的とするブラジャー(ナイトブラ)の販売を開始。原告商品「ふんわりルームブラ」は、両サイドからアンダーバストに沿って配置されたバンド(横帯)とアンダーバストラインに沿い胴回り全体に長めの巾に制作されたフリルレース(生地)を付帯させた、デザイン性を重視した独自の「フリルバンド」構造において、特徴を有しており、平成31年1月時の累計販売枚数は140万枚を超え、Amazonジャパンにおいて売れ筋ランキング1位を獲得する等、同社のヒット商品として人気を博している。
被告が、平成30年10頃から平成31年3月頃にかけて、「Moriage(モリアージュ)加圧ブラ」(被告商品1)を、平成31年2月頃から令和元年9月頃にかけて、同じ商品名で、改良した被告商品2を販売したことから、シーオーメディカルは、被告商品はいずれも、「ふんわりルームブラ」の「商品の形態」を「模倣した商品」に該当し、不競法2条1項3号において禁止されるとして、被告が得た利益の額(不競法5条2項)に弁護士費用相当の損害額を加算した、2億0274万5063円の支払いを求める裁判を、東京地裁に起こしました。
東京地裁は、判決において、以下のように述べ、被告商品は、原告商品の「商品の形態」を「模倣した商品」と認定した上で、損害賠償額として、原告の請求を満額認めました。
・相違点は,いずれもわずかな改変に基づくものであり,商品の全体的形態に与える変化は乏しく,商品全体から見て些細な相違にとどまるといえるから,被告商品は原告商品と実質的に同一の形態であると認めるのが相当である。
・原告は,販売開始以降,多大な宣伝広告費を費やし,雑誌,テレビCM,イベント等を通じて,原告商品の宣伝広告を行い,平成29年12月31日までに原告商品を約26万枚販売し,平成29年ないし平成31年頃のナイトブラを対象としたランキングで1位又は2位を獲得したことからすると,被告商品1の販売が開始された平成30年10月頃,原告の同業者である被告がインターネットショッピングモールを確認して原告商品を見つけることができなかったとは考えられず,他に被告商品1の販売及びこれに続く被告商品2の販売に先立って,被告が原告商品を見つけることができなかったことを認めるに足りる証拠はない。
・本件全証拠によっても,被告が被告商品を独自に開発したことをうかがわせる事情は認められないことからすると,被告は原告商品の形態に依拠して被告商品を作り出したと推認するのが相当である。
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