[Newsletter vol. 133]
知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向と分析について、直近の統計情報、特許庁の取組等を取りまとめた「特許行政年次報告書2021」が公表されました。商標に関する主な内容は、以下のとおりです。
1.2020年の商標出願件数、前年比5.1%減
2020年の特許庁への商標出願件数は、前年比5.1%減の181,072 件でした。内訳は、国際商標登録(マドプロ)出願件数が前年比7.8%減の17,924 件、直接出願件数が同4.8%減の163,148 件。

2.商標出願に係る特許庁の審査期間が長期化傾向
近年の出願件数の増加及びコロナ感染拡大の影響により、2016年の4.9ヵ月(平均FA期間)と比べ、2019年:9.9ヵ月、2020年:10.0ヵ月と、出願~登録に要する期間が年々長期化。

3.マドプロを用いた海外商標登録出願での指定国総数、前年比7.9%増の20,223件
日本企業が、マドプロを用いて海外に商標登録出願する件数は、毎年3,000件程度。コロナの影響で2020年の件数自体は多少減少するも、指定国の総数は増えており、マドプロを用いて海外に出願する傾向は年々高まっています。

4.日本への商標出願における内外国人比率は、74.8%:25.2%
日本で商標登録出願を行う内国人と外国人の比率は、2020年は、74.8%:25.2%となっており、外国人出願比率は2016年以降、年々高まっています。
5.日本人による海外への商標出願件数
2019年に比べ、対米国が2.2%減、対EUIPOが7.1%減、対韓国が21.3%減。(※対中国は未公表)

6.外国人による日本への商標出願件数:45,697件(前年比9.2%増)
中国からの出願が前年比45.3%増の18,181件、韓国から前年比0.7%増、欧州から前年比24.3%減、米国から前年比2.1%減。

7.主要国・機関別の商標出願件数(2019年)
中国(約784万件)、米国(約49万件)、韓国(約22万件)、EU(約16万件)。

8.商標の審判事件の平均審理期間(2020年)
拒絶査定不服審判:9.5ヵ月、無効審判:13.7ヵ月、異議申立:8.6ヵ月、取消審判:8.8ヵ月となっており、取消審判が2.4ヶ月ほど長期化している以外は、前年とほぼ変わらず。
9.商標の審判請求(申立て)が認められる勝率(2020年)
拒絶査定不服審判68.4%、異議申立12%、取消及び無効審判80.9%
10.商標に関する審決(決定)取消裁判の判決件数(2020年)
査定系審判が19件(取消成功率:10.5%)、当事者系審判が14件(取消成功率:28.6%)、異議申立は0件
11.「早期審査」の申出件数の増加
日本への商標出願において、ここ数年、「早期審査」の申し出件数が顕著に増えている。
2017年:3,447件、2018年:5,278件、2019年:8,110件、2020年:11,204件。申出から審査結果が最初に発送されるまでの期間は、1.9ヶ月でほぼ一定。
※上記の図表は、「特許行政年次報告書2021」より抜粋、引用。詳細につきましては、こちらからご覧ください。