特許庁、パソコン買取評価サービスにおける「MACSELL」の使用は、米アップル社「Mac」と誤認混同せず

[Newsletter vol.124]

特許庁は、第36類「携帯電話機械器具・スマートフォン・パーソナルコンピュータ及びタブレット型コンピュータの買取価格の評価」における登録第6223514号商標「MACSELL」について、異議申立人である米国法人アップル社の周知・著名な「Mac」と誤認混同を生ずるおそれがあるかが争われた異議申立事件において、アップル社の主張を退け、登録を維持する決定をしました。[異議2020-900114号決定]

MACSELL

登録第6223514号商標商標「MACSELL」(標準文字、以下「本件商標」)は、2019年3月22日に、第36類の役務「携帯電話機械器具・スマートフォン・パーソナルコンピュータ及びタブレット型コンピュータの買取価格の評価」他を指定して出願され、特許庁の審査をパスして、2020年2月6日に登録されました。

本件商標「MACSELL」は、本件商標権者が運営する「Mac/Surface買取専門店」において実際に使用されているようです。

アップル社による異議申立て

アップル社は、代表製品の一つ「Mac」シリーズは、ラップトップ型コンピュータ「MacBook Air」「MacBook Pro」、デスクトップ型コンピュータ「iMac」「iMac Pro」、コンピュータハードウェア「Mac Pro」「Mac mini」といった製品名で販売されており、「MAC」の語が申立人の商標として広く一般に理解されているものであることから、本件商標中の「MAC」の文字は即座に申立人の著名商標「MAC」を想起させ、“売却”を意味する英単語「SELL」より、本件商標は全体として「申立人のコンピュータの売却」に関する役務を想起させ、申立人と何らかの関係があるかのように誤認・混同させるおそれが高い。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する、と主張しました。

特許庁の判断

特許庁は、「Mac」の文字が申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く知られており、たとえ、本件商標の指定役務中「携帯電話機械器具・スマートフォン・パーソナルコンピュータ及びタブレット型コンピュータの買取価格の評価」と申立人商品について、需要者を共通にし関連性があるとしても、本件商標と引用商標とは、「SELL」の文字の有無という構成文字及び文字数における明らかな差異があり、外観上、判然と区別し得る。両称呼は、後半部における「セル」の音の有無という顕著な差異を有するものであり、明瞭に聴別し得る。本件商標からは、特定の観念は生じないのに対し、引用商標からは、申立人商品の観念が生じるものである。したがって、類似性の程度は低い。

さらに、引用商標の独創性も高くなく、本件商標をその指定役務に使用しても、申立人の商標を想起、連想するものとはいえず、これに接する取引者、需要者は、これが申立人又は同人と経済的、若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しない、と判断しました。


パキスタン、マドリッド議定書に加盟 5月24日より国際出願を受理

日本企業が外国で商標登録する際、マドプロ国際登録(マドプロ)ルートが主流となっていますが[2019年実績:3,139件]、この度、108番目の加盟国としてパキスタンが加わり、令和3年5月24日からマドプロルートで出願できます。