英国最高裁、乳製品でないオートミルク(植物性ミルク)に「milk」の語を含む商標の登録は無効

[Newsletter vol. 242]


2026年2月11日、英国最高裁判所は、第29,30,32類のオーツ麦を用いた食品及び飲料を指定商品とするOatly社の英国登録商標「POST MILK GENERATION」の有効性が争われた裁判において、本件商標の使用は適用法令により禁止されており、登録は無効との下級審の判断を支持し、同社の上告を棄却する判断を下しました。


 最初に、イギリスの乳業の業界団体Dairy UK社が、「POST MILK GENERATION」の英国商標登録に対して、1994年商標法第3条第4項に基づき、無効審判を請求しました。同項は、他の法令により使用が禁止されている商標の登録を認めないことが規定されており、これに該当する法令規定として、引用されたEU規則第1308/2013号(2013年規則)は、「milk」などの乳製品の名称の使用を、動物由来のものに限定しています。

 英国知的財産庁(UKIPO)での最初の審理で、本件登録商標は無効と判断されましたが、高等裁判所がこの判断を覆しました。その後、控訴裁判所が再び無効とし、最終的に、最高裁もその結果を支持しました。

 2013年規則における「designation(名称・表示)」の文言の解釈が主な争点となりました。Oatly社は、「designation」の意味は商品の正式名称と狭義に解されるべきであり、本件商標「POST MILK GENERATION」は、商品名称ではなく、ブランド又はスローガンに該当することから、同規則の適用対象外と主張しました。

しかしながら、英国最高裁は、この解釈を退け、「designation」には、商品のマーケティングやブランディングで使用される語をも含むより広範な意味があると判示しました。本件商標には「milk」の語が含まれ、乳製品以外の商品に使用されていたことから、同規則の禁止規定に該当すると判断しました。

 Oakly社は、仮に同規則が適用されるとしても、本件商標は商品の特性(milk-free:乳成分を含まないこと)を明確に記述したものであり、例外的に、適用が除外されると主張しましたが、裁判所は、「POST MILK GENERATION」は商品の特性を明確に記述したものではなく、むしろ、「ミルクを消費しない次の世代」という需要者層を指しているように読め、また、乳成分を含まないことの記述としては、間接的であり、例外規定が適用されるための明確性が不十分であるとして、Oakly社の主張を退けました。

 最高裁判所は、本件の判断は、消費者における出所混同といった従来の商標法理に基づくものではなく、農産物市場における公正な競争を確保するため、乳製品の名称使用を動物由来の商品に限定するという同規制の政策目的に基づくものであると言及しました。

 この判決により、英国では、乳製品以外の商品において、「milk」の語を商標に含むことは、たとえフレーズの一部であっても原則として認められなくなります。乳製品業界には待望の結果であり、植物由来の代替品が増えつつある中、乳製品名称の使用に対する保護強化を後押しする判決といえます。