大阪地裁:「Funice」ミニトートは、「LIZDAYS」ミニトートの形態模倣に該当せず

[Newsletter vol. 237]


 大阪地方裁判所は、令和7年11月13日、株式会社京童(被告)が販売する「Funice」ミニトートバッグが、Style On株式会社(原告)がデザインした「LIZDAYS」ミニトートバッグの形態を模倣し、不正競争防止法2条1項3号に該当するかが争われた裁判において、両商品の形態は、実質的に同一とは認められないとして、原告の損害賠償請求を退ける判決をを言い渡しました。
[大阪地裁 令和6年(ワ)第10842号/第21民事部松川裁判長]


原告商品及び被告商品

 判決文によると、Style On株式会社は、令和2年8月からECサイト(楽天市場)において「LIZDAYS」ミニトートバッグ(原告商品)の販売を開始。一方、株式会社京童は、取締役が令和3年6月5日に原告商品を購入した後、「Funice」ミニトートバッグ(被告商品)の販売を開始。


不正競争防止法213

 不競法2条1項3号は、「他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く)を模倣した商品を譲渡等する行為」を禁止しており、原告は、被告商品の形態は原告商品の形態と実質的に同一で、原告商品購入後に販売していることから、原告商品に依拠して作り出されたものであるとして(不競法2条5項)、令和3年10月~令和5年8月25日(原告商品の販売開始から3年経過日)までの間に4,582個販売し、少なくとも359万8,702円の利益を得たとして、被告に対し損害賠償を請求しました。


  

大阪地裁判断 

 裁判所は、以下のように述べ、被告商品は原告商品を参考にしてデザインされたことはうかがわれるものの、原告商品の「形態」を「模倣」したものと認めることはできない、と判断しました。

  • 原告商品と被告商品は、バッグ前面及び後面の横幅が23cmで、バッグの高さ(縦の長さ)も19cmと18.5cmと、若干の違いはあるものの、その長さないし横幅との比として近似しているほか、外側にオープンポケットがある点、バッグ前面及び後面に手持ちのためのハンドルが各1つあり、2枚合わせの生地である点、 収納部の形状において共通するもので、一見すると、両商品の全体的印象には共通するものがあるように受け止められる部分はある。 しかし、原告商品の販売開始日より以前から、バッグ前面及び後面の開口部を含まない横幅と高さ(縦の長さ)を同程度とするトートバッグは存在しており、バッグ前面の外側にオープンポケットを備え、バッグ前面及び後面に各1つの手持ちハンドルを備え、当該ハンドルが2枚合わせの生地からなるトートバッグも存在していた。加えて、バッグ内部に4つに仕切られた収納部が存在し、中央部にオープンポケットがあるなどの形態についても、バッグ内側で複数に仕分けられた収納機能を備えさせることに伴う形状の域を出ていない。このように、原告商品と被告商品において共通すると原告が強調する各形態は、いずれも先行する同種商品として、既に同一ないし類似の形態が存在していたものであるから、これらを原告商品の形態の実質的同一性の判断において、重視することはできない(なお、原告商品と先行同種商品とで横幅に一定の差異があると見たとしても、トートバックとしてごくありふれた前面及び後面が長方形状という形態を前提に、その横幅に一定の差異があるというにとどまる。)
  • 他方、原告商品と被告商品は、ハンドルの持ち手高に8cmであるか10.5cmであるかという違いがある上、バッグ前面の縦約3cmの長方形タグの有無、ハンドルと本体との取付部の約4cm四方の縫い目の形状及び丸型補強鋲の有無においても相違する。ハンドル本体との取付部の縫い目の形状、同部の補強鋲の有無や、バッグ前面の長方形タグの有無という相違点については、バッグ前面の形態が需要者の最も注目する部分であると解されること、上記縫い目の大きさや長方形タグがバッグ全体の大きさに比して小さいものとはいえないことからすれば、先行する同種商品との比較のもと原告商品固有の形態といえる部分が限られている中で、商品全体の形態に対する需要者の印象に影響する相違点がある
  • 以上より、両商品の形態は、実質的に同一(不競法2条5項)であると認めることはできない。 なお、先行同種商品の形態との比較検討に加え、原告が、原告商品の形態のデザイン過程を直接示す証拠を一切提出することができなかったという訴訟経過も踏まえると、原告商品の形態が、原告の労力等を投下して開発した成果たる「他人の商品の形態」(不競法2条1項3号)に当たることについても、疑義があるといわざるを得ない