[Newsletter vol. 231]
2025年8月25日、欧州知的財産庁・審判部は、商品「履物」における位置商標(欧州連合商標第18491939号)に対する異議棄却決定を不服として、The A.R.T. Company B&S社が請求した審判について、以下のように述べ、同社の所有する位置商標に係る先行欧州連合商標第12956447号とは類似しないとして、異議決定を支持する判断を下しました。
[審判番号:R1730/2024-5]

被異議商標及び引用商標のいずれも、商標の説明の欄に、アスタリスクの図形からなると記載されている。しかしながら、商標の説明の欄に、商標がアスタリスクであると記載されていたとしても、当該記述は、商標に対する商標出願人の認識に関する情報に過ぎず、需要者が商標をどのように認識するかを示すものではない。引用商標は、コンピュータで生成される、先端が丸まった同じ長さの6本の線からなるアスタリスクとは類似していない。
このため、需要者が引用商標をアスタリスクと認識する可能性は極めて低く、むしろ、単に、中央から放射状に延びる不均等な長さの8本の橙色の線図形としてのみ捉え、特定の意味合いを有する図形とは認識しない。
8つの先端が丸みを帯びた被異議商標も、一般的なアスタリスクとは類似しない。同じ長さの線により構成されていることで、手書きで書された8点からなるアスタリスクとも類似とは言えない。したがって、需要者が、被異議商標をみて、アスタリスクと認識する可能性は極めて低く、むしろ、両端が丸みを帯びた同一の長さ・幅を有する4本の線が、その中央で交差するように配置され、8つの両端のうち、3つが部分的に覆われている図形としてのみ認識する。
両商標は、履物に表示される位置も異なる。引用商標は靴底および外側のヒール部分に配置されているのに対し、被異議商標は鳩目カバー下の靴の側面に配置されています。さらに、両商標は大きさにおいても大きく異なっており、被異議商標は引用商標よりも靴に占める割合が大きい。
平均的な需要者が、両商標を直接対比観察することは極めて稀であり、実際には、記憶に残った不完全な印象に依拠せざるを得ない。しかしながら、たとえ、需要者が商標の詳細を記憶していなかったとしても、単に、4本の線が中央で交差することで8つの端部を有する構成において共通することのみをもって、両商標が視覚的に類似すると判断することはできない。
なぜなら、両商標には顕著な差異が存在するからである。すなわち、被異議商標は、両端が丸みを帯びた直線が、規則的かつ均等に配置されているのに対し、引用商標は、長さの異なる8本の線の橙色の線が、向き・傾きも様々で、その両端も直線で区切られている。
以上により、被異議商標と引用商標とは、外観上、類似しない。
