東京地裁:[不競法事件]静岡木工のモダン神棚板及び神具セット、出所表示としての周知性を認めず

[Newsletter vol. 201]


東京地方裁判所は、令和6年5月15日、原告(株式会社静岡木工)が、被告(株式会社朋華)に対し、被告の販売する神棚板及び神具セット(以下、被告商品)は、周知な商品等表示である原告の製造販売に係るモダン神棚板及び神具セット(以下、原告商品)との関係で不正競争防止法第2条第1項第1号の不正競争行為に該当するとして、被告商品の販売等の差止め並びに損害金3,080万円の支払求めた裁判について、原告の請求を棄却する判決を言い渡しました。

[東京地裁令和4年(ワ)第70009号不正競争行為差止等請求事件/民事第46部柴田裁判長]

原告商品

 原告は、平成16年より原告神棚板「モダン神棚板 Kaede/Kaede Grande/Kurumi/Kurumi Grande/Kohaku」を、平成27年より原告神具セット「Mitsuba」をそれぞれ、主にホームセンターや原告のオンラインショップ(アマゾン、楽天、Yahoo)及び直営店を通じて販売。平成27年にNHK「あさイチ」で紹介されると、インターネットでの注文が爆発的に増え、その後も、TVや雑誌で紹介。ホームセンター実店舗での原告商品の販売シェアは80%を超える。


被告商品

 被告は、令和2年10月31日より被告神棚板「棚板 破魔矢さし」を、令和3年11月12日より被告神具セット「モダン神具 こもれび」をそれぞれ、アマゾン、楽天、Yahoo等を通じて販売開始しました。


 

東京地裁判断

 東京地裁は、以下のように述べ、原告商品(原告神棚板及び原告神具セット)は、原告の出所を示す表示として周知になったことはないと認められるとして、原告の請求を棄却しました。 

  1. 不正競争防止法2条1項1号の「商品等表示」とは、「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」をいう。商品の形態は、商標とは異なり、本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではないが、商品の形態自体が、特定の出所を表示するに至る場合がある。商品の形態は、本来的には、商品の出所を表示する目的を有するものではなく、それが特定の出所を表示する「商品等表示」になるのは、商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され、又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっている(周知性)場合であると解される。
  2. 平成27年4月には、NHKの番組で原告商品が取り上げられた。しかし、他に、全国的なテレビ番組で原告商品が取り上げられたことがあったことを認めるに足りず、この一回の放送によって、原告商品の特徴の組合せが原告の出所を示すものとして需要者に周知になったとはいえない。また、原告商品が写っている写真が、日刊紙、雑誌等に掲載されたことが認められるが、それらは合計数回であり、これらによって、原告商品の特徴の組合せが原告の出所を示すものとして需要者に周知になったとはいえない。
  3. 原告商品は、原告が販売する複数の種類の神棚・神具セットのうちの一つであり、その展示、販売に際しても、多種類の商品の中の一つとして展示、販売されているのであって、原告商品の上記特徴が他の同種の商品とは異なることを述べる宣伝文言によって強調されて展示、販売されていることも認めるには足りない。
  4. 原告が主張する特徴のうちの複数の特徴を備える神棚板・神具セットも販売されていて、原告が主張する特徴のいくつかやその組合せについては原告が長期間独占的に使用していたと認めることもできない。
  5. 以上によれば、原告商品について、各報道や公刊物の記載、展示、販売によって原告商品の特徴や組合せが原告の出所を示すものとして需要者に周知になったとは認められず、また、報道等の回数の少なさや、展示、販売の際も多種類の商品の一つとして展示、販売されているにすぎないことからも、関係する事情を総合して考慮しても、原告商品の特徴や組合せが、原告の出所を示す表示として周知になったことはないと認められる
他社商品を参考に開発することは長らく行われており、直ちに違法とは言い得ません。発売後に人気が出たことで類似品が安値で出回り、需要者の流出を防ぐには、発売開始後1年以内であれば、「意匠登録」が効果的といえます。本件は、原告商品の発売から3年経過しており、形態模倣ではなく、周知性の立証を余儀なくされたため、厳しい判決となりました。