[Newsletter vol. 181]
知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向と分析について、直近の統計情報、特許庁の取組等を取りまとめた「特許行政年次報告書2023」が公表されました。商標に関する主な内容は、以下のとおりです。
1.昨年(2022年)の商標出願件数は前年比7.8%減の170,275 件
内訳は、国際商標登録出願 件数が前年比1.6%減の19,769 件、直接出願件数が同8.5%減の150,506 件。
2.近年の審査期間の長期化傾向を阻止すべく、審査の体制強化・効率化取り組み、商標出願に係る特許庁の審査期間が昨年は大幅に短縮。
平均FA期間は、2020年:10.0ヵ月、2021年:8.0ヵ月に対し、2022年:5.4カ月。
3.マドリッド協定議定書(マドプロ)を用いた海外への商標登録出願件数は、前年比3.2%減の3,094件
4.日本への商標登録出願の内国人:外国人の比率は、73.6%:26.4%。外国人出願比率は2020年以降、25%前後を推移。
5.日本人による外国への商標出願件数は、2021年に比べ、対米国が1.8%増、対EUIPOが2%減、対韓国が43%大幅減。(※対中国は未公表)
6.昨年(2022年)の外国人による日本への商標出願件数は、前年比13%減の44,911件
中国からの出願が前年比25%減の15,100件、韓国から前年比7%減、欧州から前年比3.4%減、米国から前年比5.6%減。
7.主要国・機関別の商標出願件数(2021年)は、中国(約945万件)、米国(約67万件)、韓国(約29万件)、EU(約20万件)。
8.商標の審判事件の平均審理期間(2022年)は、拒絶査定不服審判:8.6ヵ月、無効審判:10.0ヵ月、異議申立:8.9ヵ月、取消審判:6.4ヵ月となっており、全体的に短期化の傾向。
9.商標の審判の結果、請求(申立て)が認められる勝率(2022年)は、拒絶査定不服審判:67.2%、異議申立:9.2%、取消及び無効審判:89.8%。
10.商標に関する審決(決定)取消裁判の判決件数(2022年)は、査定系審判が10件(取消成功率:0%)、当事者系審判が23件(取消成功率:26%)、異議申立は3件(取消成功率:33.3%)でした。
11.日本への商標出願において、「早期審査」の申出件数が一昨年まで年々増加していたが、昨年は前年比21%の大幅減。2018年:5,278件、2019年:8,110件、2020年:11,204件、2021年:11,450件、2022年:9,101件。
12.特許庁の商標審査官の定員は、過去5年間で25%増員(2018年度:140人、2022年度:175人)
13.2022年に現存する国内商標権(マドプロ含む)は前年比5.3%増の2,180,817件。外国人所有割合は21.5%。
14.昨年出願された新しいタイプの商標出願は75件(音:19件、動き:18件、位置:30件、色:7件、ホログラム:1件)。
上記の図表は、「特許行政年次報告書2023」より抜粋、引用しています。こちらからご覧ください。