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欧州連合司法裁判所:製造中止後であっても、フェラーリ“Testarossa”(テスタロッサ)商標の『真正な使用』を認定

欧州連合司法裁判所(CJEU)は、2020年10月22日、商標の「真正な使用」(genuine use)の定義、範囲に関して、重要な判断を下しました。
これにより、フェラーリは、「Testarossa」(テスタロッサ)の名称を、そのモデルは既に製造中止にも拘らず、継続して使用することが認められました。
[裁判事件番号:C-720/18, C-721-18]

欧州連合司法裁判所は、イタリア語で『赤い頭』を意味する、高級スポーツカーの商標「Testarossa」について、そのスポーツカー自体は1990年代以降製造されていないものの、フェラーリは部品供給を続けており、ブランド名称を継続して所有する権原が認められるとして、以下のように述べ、商標登録を取り消した2017年のドイツ裁判所の判断を覆しました。

「商標は、その所有者が、その商標を付して以前販売した商品に関連する特定のサービスを提供すれば、当該サービスにおいてその商標が使用されていることを条件として、商品における商標の『真正な使用』に該当する。」

 デュッセルドルフ高等地方裁判所は、下級裁判所が、フェラーリは過去5年以上、「Testarossa」商標を使用しておらず、このため、最早、当該名称における権利を有さないとのドイツ玩具業者Autec AG社の訴えを認める決定を下した後、欧州連合司法裁判所に本件を移送しました。

フェラーリの2ドアクーペのレースカーは、250 Testa Rossaと命名され、1957年の世界スポーツカー選手権で優勝しました。10,000台が製造され、フェラーリの中では最も多く製造されたモデルでした。フェラーリは、交換部品に「Testarossa」の商標を付して製造しており、商標権は継続して認められるべきと反論しました。フェラーリが2011年から2017年にかけて販売したTestarossaの部品は、金額で17,000ユーロ(約2百万円)程度でしたが、ドイツ裁判所は、『真正な使用』と認めるにはこの金額では不十分と判断しました。フェラーリは、7,000台程度しか走っていないものの、他の高級品と同様、日常で頻繁に使う類の商品ではないことを指摘しました。

欧州連合司法裁判所は、判決において、次のように述べ、フェラーリの主張を認めました。

「たとえ、商標を付した製品の販売台数が比較的少なくとも、商標が、その本質的な機能を発揮する態様で使用されていれば、『真正な使用』と評価され得る。」

なお、裁判所は、単に商品を再販売する行為は、『真正な使用』には該当しないとしつつ、「中古品の販売であっても、指定商品の出所を表示・保証する商標の本質的な機能が発揮される態様で、登録商標が商標権者によって現実に使用されていれば、そのような使用は、『真正な使用』を構成し得る」との見解を示しました。

判決全文は、こちらをご覧ください。