特許庁:国民的人気菓子「ポッキー」の商品立体形状、特別顕著性により商標登録

[Newsletter vol. 230]


 特許庁は、令和7年7月25日、マークス国際弁理士法人が代理人として対応した、江崎グリコ株式会社が1966年に発売した人気菓子「ポッキー」の立体的形状(以下、本願商標)について、第30類指定商品「チョコレート菓子」との関係において特別顕著性を獲得しているとして、商標法第3条第2項の適用により、本願商標の登録を認めました。[商標登録第6951539号]


本願商標

 江崎グリコ株式会社は、2024年3月13日、同社が1966年に世界で初めて発売した棒状のチョコレート菓子「ポッキー」の立体形状について、第30類「菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),洋菓子」を指定商品として、特許庁に出願しました(商願2024-63255)。


ポッキー(POCKY)

 「ポッキー」は、発売から60年近く経過し、現在では、世界30カ国で年間約5億箱も売り上げる大ヒット商品。2020年には、世界売上No.1(最大のチョコレートコーティングされたビスケットブランド:推計589.9百万USドル)として、ギネス世界記録に認定。同商品のパッケージには、発売当初より本願商標が描かれており、過去10年以上、常に国内シェア3位以内。


立体商標と商品の立体形状

 商品や商品パッケージ等の立体的形状からなる商標は「立体商標」と呼ばれています。商品のパッケージ等には、メーカー名や商品ブランドが表示されており、需要者は、通常、これらを手掛かりに、どの事業者の商品かを認識することから、商品やパッケージの立体形状それ自体が、果たして、商標として機能しているといえるのか?、常にこのことが問題となります。
 なお、立体商標には、立体形状に識別力のある文字や図形が表示されたものも含まれます。この場合、たとえ、立体形状自体が識別力を欠く場合でも、文字や図形に識別力があれば、通常の商標と同じように扱われ、識別力の問題なく商標登録が認められます。また、商品はパッケージに包装されて陳列・販売されることから、需要者が商品パッケージを見て購入することはあっても、商品の立体形状は、購入後でないと目にすることができません。このような取引の実情もあり、立体商標の中でも、文字や図形を一切除いた商品そのものの立体形状は、商品パッケージの立体形状よりも、登録のハードルは高く、登録件数も少ないのが実情です。

 実際に使用されている菓子(商品)の立体形状に関する商標登録は、今回の「ポッキー」を含め9例しかなく(弊所調べ)、そのうち、立体形状自体の特徴(キャラクター化)や識別力のある図形との結合による登録例は6件で、識別力を欠く立体形状で商標登録が認められたのは、「ポッキー」以外に、明治「きのこの山」「たけのこの里」だけです。


認知度調査

 商品の立体形状だけを見て、需要者が特定の事業者の商品と認識していることの立証手法として、アンケート調査の重要性が高まっており、明治「たけのこの里」では、16~64歳の男女1,246人を対象にアンケート調査が行われ、特許庁は、認知度89%の結果を肯定的に捉えました。

 本願商標についても同様に、16~79歳の男女1,036人を対象にアンケート調査を行ったところ、「たけのこの里」を凌ぐ調査結果(純粋想起:91.6%、助成想起:97.4%)が得られたことから、本願商標は特別顕著性を十分獲得しており、また、「シン・ゴジラ」立体商標に対する商標法第3条第2項の該当性が争われた知財高裁の判決[令和6年(行ケ)第10047号]等を根拠に、第30類指定商品を「チョコレート菓子」に限定せずとも、同項の適用が認められるべき旨主張しました。


特許庁の判断

 特許庁審査官は、「ポッキー」の使用実績により、本願商標が特別顕著性を獲得していることを認め、第30類指定商品「チョコレート菓子」において、商標法第3条第2項の適用により、本年6月24日、登録を認める判断(登録査定)を下しました。