[Newsletter vol. 252]
知的財産高等裁判所は、2026年6月29日、東都生活協同組合の3人組キャラクター「るんるんズ」の名称に関する商標登録第5741277号「たべるん」(以下、本件商標)が、第35類「飲食料品に係る小売等役務」において使用されているとした特許庁の審決(取消2024-300908号)の是非が争われた審決取消訴訟において、特許庁の判断を支持する判決を言い渡しました。
[令和8年(行ケ)第10009号 審決取消請求事件、知財高裁第2部 森冨裁判長]
本件商標
イートウェル株式会社(原告)は、2024年4月26日、文字商標「TABeRUN」を菓子及びパン等の小売等役務を指定して、商標登録出願したところ(商願2024-045458)、特許庁審査官より、東都生活協同組合(被告)が所有する登録第5741277号商標「たべるん」と抵触するとして、拒絶理由が通知されたことから、同年12月17日、本件商標の第35類指定役務中、飲食料品に係る小売等役務に対して不使用取消審判を請求しました(取消2024-300908)。

特許庁の判断(原審決)
特許庁審判合議体は、2025年12月18日、以下のように述べ、本件商標は不使用に該当しないと判断しました。
『被告のウェブサイトにおいて、「るんるんズ」と称するキャラクターの1人の名称として「たべるん」の文字(以下、使用商標)が表示されている。本件ウェブサイトの記載からすると、「わたしのこだわり」ブランドの商品は、少なくとも飲食料品を含む商品であると推認できる。 そうすると、本件ウェブサイトにおいては、「わたしのこだわり」と称する被告のプライベートブランドに係る、飲食料品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(以下、使用役務)につき、Q&A形式で広告が行われている。本件ウェブサイトにおいて、「たべるん」を含む「るんるんズ」と称するキャラクターは、「わたしのこだわり」ブランドの商品の宣伝広告を行う役割のものとして表示されていると見るのが相当であり、使用商標は、本件ウェブサイトにおいて、使用役務に関する広告につき使用されている。 そうすると、商標権者は、本件ウェブサイトにおいて、使用役務に関する広告を内容とする情報に使用商標を付したということができ、これは、商標法2条3項8号の「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。また、当該行為は、日本国内において行われたことが明らかである。』

原告は、2025年1月22日、知財高裁に対し、原審決の取消しを求める訴訟を提起し、『本件ウェブサイトに表示された「たべるん」の文字は、「「わたしのこだわり」調査隊。」等と題する企画の文脈において、キャラクターの図像と結び付いた態様で表示され、あるいは、キャラクターの名称又はキャラクター群の一員として表示されるにすぎず、需要者は、これを役務の出所表示ではなく、案内役のキャラクターの名称として理解する。 かかる表示は、需要者に対し商品又は役務の出所を表示する標識として機能するものでなく、商標的使用として理解されない。』と主張しました。
知財高裁の判断
裁判所は、商標法50条の「使用」の解釈について、以下のように判断し、原告の主張を退けました。
- 商標法50条1項は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者等のいずれもが各指定商品・役務について登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品・役務に係る商標登録を取り消すことについて審判の請求をすることができる旨を、同条2項本文は、当該審判の請求があった場合においては、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者等のいずれかがその請求に係る指定商品・役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明しない限り、商標権者は、その指定商品・役務に係る商標登録の取消しを免れない旨を定める。これは、不使用の登録商標に対して独占排他的な権利を付与することは国民一般の利益を不当に侵害するとともに、権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなって、公益上適切でないことによるものと解される。 そして、かかる商標法50条の趣旨に加え、同法26条1項6号が、同法2条の定める「商標」のうち、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標」、すなわち商標的使用のされていない商標については、商標権の効力が及ばない旨を明文で定めるのに対し、同法50条では、かかる限定がされていないことにかんがみると、同条2項本文にいう「登録商標の使用をしている」というためには、その文言のとおり、当該登録商標が、請求に係る指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、需要者において何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識し得る態様により使用されていることまで要しないと解する。
- 被告は、本件ウェブサイトの公開により、要証期間内に日本国内において、「飲食料品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、役務に関する広告に使用商標を付して電磁的方法により提供する行為により商標法2条3項8号に該当する「使用」をしたと認めることができ、同法50条2項本文により、本件商標の登録を取り消すことはできない。
- 原告は、「たべるん」の文字は、キャラクターの図像と結び付いた態様で表示され、又は、キャラクターの名称又はキャラクター群の一員として表示されるにすぎないから、商標法50条にいう「使用」とはいえない旨の主張をするが、同条にいう「使用」は、商標的使用に限られず、請求に係る指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足りる。
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