特許庁:人気マルチパックアイス「ヨーロピアンシュガーコーン」、特別顕著性により商標登録

[Newsletter vol. 248]


 特許庁は、クラシエ株式会社(旧カネボウ)が1986年から製造販売するマルチパック入りアイスクリーム「ヨーロピアンシュガーコーン」の名称ロゴの識別力及び特別顕著性を否定した拒絶査定の是否が争われた不服審判において、需要者に相当程度知られており、商標法第3条第2項の要件を具備するとして、原査定を取消す審決を下しました。

[不服2024-14037号審決/審決公報発行日:2026.4.24]


本件商標

 クラシエ株式会社は、令和5年2月14日、「ヨーロピアンシュガーコーン」の文字を上下二段に並べた右掲の商標を、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」を指定して、特許庁に商標登録出願しました(商願2023-14684)。


原査定

 特許庁審査官は、令和6年6月4日、本件商標は「ヨーロピアン」の文字と「シュガーコーン」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、その書体及び構成等は、商品の取引上、一般に用いられる範囲にとどまるものである。そして、本件指定商品に係る業界において、「ヨーロピアン」の文字が、「ヨーロッパスタイル」や「ヨーロッパ風」ほどの意味合いで使用されている実情があり、「シュガーコーン」の文字が、「シュガーコーン」や「シュガーコーンを使用したアイスクリーム」に使用されている実情があることから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「ヨーロッパ風のシュガーコーン」又は「ヨーロッパ風のシュガーコーンを使用したアイスクリーム」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解するにすぎないというのが相当である。したがって、本件商標は商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本件商標を上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するとして、本件商標を拒絶しました。


拒絶査定不服審判

 クラシエ株式会社は、令和6年9月2日、マークス国際弁理士法人を代理人として、原査定の取消しを求める拒絶査定不服審判を請求し、出願人の前身であるカネボウハリス株式会社が1986年に発売したアイスクリームに使用されて以来、40年近く継続して同商品のパッケージに目立つ態様で使用され、今や、同社を代表するロングセラー人気商品の一つとして、需要者及び取引者の間で広く認識されている旨、主張するとともに、特許庁からの審尋を踏まえ、本件指定商品を第30類「マルチパック入りのコーン充填タイプのアイスクリーム」に補正しました。


登録審決

 特許庁審判官合議体は、以下のように述べ、原査定を取消し、本件商標の登録を認める審決を下しました。

  • 本件商標を付した使用商品は、2004年乃至2023年の20年間の累計販売数量は3億4,200万個を超え、年間販売金額は25億円乃至54億円で推移。2013年以降の「マルチパックタイプで販売されているコーンアイス」の商品カテゴリーにおけるシェア(販売額ベース)は40%以上。過去10年以上「コーンアイス」全体の商品カテゴリーにおけるシェアは10%台。全国各地の総合スーパー、食品スーパー、ディスカウントショップ、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニ、生協等にて一般消費者向けに店内販売されており、2023年に同商品を配荷した店数は16,217店。
  • 2025年10月7日から9日にかけ、全国各地に住む15歳から79歳の男女で、過去3ヶ月以内(夏場)にマルチパックタイプアイスを買った又は食べたことのある1,000を対象に行ったインターネット調査によれば、本件商標のみを目にした回答者の74.6%が、当該商品名のマルチパックアイスクリームを知っていると回答
  • 新聞や雑誌への広告掲載実績等は確認できないものの、請求人は1987年以降、複数回にわたり使用商品に係るテレビCMを行い、いずれのCMにおいても、本件商標を付した使用商品が目立つ態様で放映されており、2022年のCMについては、全国規模で、1,000回以上放映。
  • 本件商標を付した使用商品は、一般消費者を対象として実施された「好きな「箱アイス」ランキング」において、複数回にわたり上位にランクインしており、第三者による紹介記事の内容から、一定程度人気のある商品であることがうかがえ、使用商品以外にも、コラボレーション企画商品として、菓子、オンラインゲーム、カプセルトイ、保温保冷バッグなど幅広い分野において本件商標を用いた商品が販売。
  • 株式会社クロス・マーケティングが実施した「マルチタイプアイスに関する認知度調査(インターネット調査)」によると、本件商標のみを目にした回答者の74.6%が、当該商品名のマルチッパックアイスクリームを知っていると回答するなど、請求人商品は、需要者に相当程度知られていると認められる。
  • 以上を総合的に考察すれば、本件商標は、補正後の指定商品である「マルチパック入りのコーン充填タイプのアイスクリーム」について使用をされた結果、需要者が請求人らの業務に係る商品であることを認識するに至ったものというのが相当
  • してみれば、本件商標は、請求人により使用をされた結果、補正後の指定商品の取引者、需要者の間で、何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと判断するのが相当であるから、本件商標は、商標法第3条第2項の要件を具備

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