知財高裁:「UNITED GOLD」と「UNITED」とは、商標非類似

[Newsletter vol. 215]


知的財産高等裁判所は、令和6年12月10日、商標「UNITED GOLD」と「UNITED」とは類似しないとした特許庁の審決(無効2023-890089号審決)の是非が争われた審決取消訴訟において、特許庁の判断を支持し、「UNITED GOLD」は一体不可分の構成の商標としてみるのが相当であるとして、原告ハワード株式会社の請求を棄却する判決を言い渡しました。
[知財高裁令和6年(行ケ)第10066号/第3部中平裁判長]


本件商標

 被告、西富商事株式会社が所有する登録第6534957号商標「UNITED GOLD」(標準文字)は、令和4年1月17日に出願、令和4年3月25日、第25類「被服,履物」、第35類「被服・履物・かばん類の小売等役務」他において、設定登録。


引用商標 

 原告、ハワード株式会社は、第25類他において、「UNITED」の文字からなる先行登録第2053119, 4208688, 4011760, 4011761, 4758759号商標を所有。


特許庁の判断

 原告が、令和5年12月14日、本件商標「UNITED GOLD」の要部「UNITED」と引用商標「UNITED」は一致するとして、商標法4条1項11号違反を理由に、商標登録無効審判を請求。これに対し、特許庁は、令和6年6月6日、両商標は類似しないとして、原告の主張を退ける審決(本件審決)を下したことから、原告は、令和6年7月10日、本件審決の取消を求め、知財高裁に提訴しました。


知財高裁の判断

 知財高裁は、以下のように述べ、本件商標と引用商標とは非類似と判断しました。

  • 本件商標は全体として冗長なものとはいえず、「UNITED」と「GOLD」の間に一文字分の空白があるとしても、両者が別個独立の構成であるとの印象を受けるものではなく「UNITED」は「結ばれた」などの意味を有する形容詞であるから、通常は他の語と一体となってその語を修飾するために用いられるもので、単独では意味を取りにくい語である。そうすると、「UNITED GOLD」の構成のうちの「UNITED」の部分のみが強く支配的な印象を与えるものではない
  • また、「被服」において、登録商標に「UNITED」を含む商標であって原告が権利者でないものは155件あり、また、Amazonサイトにおいて、原告以外にも、「UNITED」を含む商標に係る商品が数多く検出結果に現れる取引の実情が認められる。そうすると、被服やそれに伴う身の回り品等を取り扱うファッション業界及びそれらの小売業界においては、「UNITED」という部分の識別力は弱いものと認められ、したがって、本件商標は、「UNITED GOLD」との一体不可分の構成の商標としてみるのが相当である。
  • 本件商標と引用商標は、外観、称呼においていずれも異なる上に、観念においても比較できないから、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本件商標と各引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない