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ベネルクス司法裁判所:芸術作品に描かれた著名商標は、信用を毀損しない限り、商標権侵害を構成しない

ベネルクス司法裁判所は、ベルギーの芸術家セドリック・ピアーズ氏が作品中に描いたドンペリ商標の使用に関する裁判で、2019年10月14日、判決を言い渡しました。[Case no. A18/1]

ピアーズ氏は、ドンペリの盾形ロゴやボトルのイメージを作品中に描き、それらを「Damn Pérignon」(クソ!ペリニヨン)シリーズと称して宣伝しました。さらに、ピアーズ氏は、ドンペリのボトルイメージをプリントした衣服も販売しました。

ドンペリ商標を所有するモエ・ヘネシー社は、これらの作品及び衣服は商標権侵害に該当するとして、ブリュッセル商業裁判所に提訴しました。

ブリュッセル裁判所は、ドンペリ商標は高い名声を獲得しており、衣服における侵害を認めました。一方、作品については、ベネルクス知的財産条約第2.22条(2)(d)に基づき、“商品やサービスの出所を識別する以外の目的”での使用は、(i)商標の名声を毀損し、不当利得を得ることを目的とし、(ii)正当な理由がなければ、禁止されると判断しました。

ベネルクス司法裁判所は、「正当な理由」について、欧州共同体商標指令第5条(2)の解釈と同様に捉えるべきとし、「正当な理由」は商標を使用する第三者の「主観的な利害」とも関連するとの欧州共同体司法裁判所の判断も踏まえ、新しい欧州共同体商標指令(Directive 2015/2436)を引用して、芸術表現を目的とする商標の使用は、商慣行に合致する場合、フェアユーズとみなされ許容される、との見解を表明しました。

ピアーズ氏の芸術作品は、全く異なる場面(意味合い)でドンペリ商標を描いており、需要者は、依然として、作品中のドンペリをシャンパンと関連付けて認識することから、商標の識別力を毀損するおそれはない。

この事実を踏まえ、ベネルクス司法裁判所は、他人の商標と同一又は類似する標章を商品又はサービスを識別する以外の目的で使用することは、その芸術表現が、商標や商標の所有者を毀損する意図なく、創作的なデザインの制作工程における必然的な結果であれば、許容されると結論付けました。また、作品名称の「Damn Pérignon」(クソ!ペリニヨン)について、裁判所は、芸術家が品質自体を問題視していない以上、ブランドの訴求力や需要者のシャンパンへの購買意欲に対する悪影響は認められない、と判断しました。

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