米国:商標法近代化法「Trademark Modernization Act of 2020」が成立 [施行日:2021年12月27日]

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[Newsletter vol.120]

 2020年12月27日、商標法近代化法案[Trademark Modernization Act of 2020] (以下、TMA) が米国議会において可決成立し、一年後の2021年12月27日に施行されます。

米国商標登録を取消すための査定系手続の導入

現行法では、米国商標登録を取消すには、当事者系手続(inter parte)によらざるを得ませんでした。

今回のTMAにおいて、第三者の請求、又は、米国特許商標局(USPTO)の職権により、指定商品・役務の一部又は全てにおいて、
(A)過去一度も業として使用されていない登録商標の「取消し」(expunge)
(B)現実の使用に基づき出願された商標が出願時に使用されておらず、また、使用の意思に基づき出願された商標が使用宣誓書提出時に使用されていなかった登録商標の「再審査」(reexamine)に付す
査定系手続(ex parte proceeding)が導入されます。

「取消」(Section 16A)又は「再審査」(Section 16B)の請求には、当該事情を裏付ける主張と証拠資料の提出、所定の手数料の支払いが必要となります。USPTOは、査定系(一方当事者のみによる)取消又は再審査手続を開始し、商標権者に通知します。商標権者が反論として提出できる商標の使用に関する証拠資料は、通常の審査において提出が求められる「商標見本」(specimen of use)に限定されません。

外国登録に基づく米国商標登録やマドプロ国際登録に基づく米国商標登録については、商標登録自体に、使用証拠の提出は必要とされないものの、同様に、上記「査定系取消」の対象となります。商標権者が現実に米国内で登録商標を使用していない場合であっても、不使用の正当な理由があれば、当該事情を証拠として提出することができます。

「査定系取消」は、商標が米国で登録されてから3年経過後、10年以内であれば、請求することができます。
「査定系再審査」は、米国での登録後5年以内に請求する必要があります。

第三者による情報提供

これまで、USPTOは、商標出願が審査に係属している間、抗議文書(LetterofProtest)という体裁で、出願商標の登録性に関する第三者から情報提供を、非公式に受け付けていました。そして、抗議文書が事実且つ客観性、関連性のある証拠を含んでおり、出願商標を拒絶する合理的根拠になり得ると認められれば、担当審査官の手元に転送されていました。202112日より、情報提供に係る抗議文書の提出に対し、1通あたり50ドル、USPTOに支払う必要があります。

差止請求権の強化

これまで、商標権侵害訴訟において、差止請求の要件に必要な、商標権者に回復不能な損害が発生したと推定されるか、連邦裁判所の判断が分かれていました。この問題(court split)について、TMAは、商標権侵害を立証し使用差止めを求める商標権者に有利となるよう、侵害が続くと回復不可能な損害が生じるとの反証可能な推定が働くことが明確化されました。

USPTOへの応答期限の変更

現行法では、USPTOの通知に対する応答は、6ヶ月以内に行うことが規定されています。TMAは、この応答期限を、「60日~6ヶ月」と改め、さらに、手数料を支払えば、延長が認められるように変更しました。

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