Newsletter vol.106をリリースしました。

欧州司法裁判所: 製品の機能的形状であっても、オリジナル作品であれば、著作権で保護される

欧州司法裁判所(CJEU)は、2020年6月11日、Brompton v Chedech事件(c-833/18)に関して、欧州において、製品の機能的な形状であっても、創作的なオリジナル作品に該当する限り、著作権により保護される、との判断を下しました。

被告は、原告製品の外観は、当該製品の技術的な機能を実現するために必然的に形成されたものであり、その機能に最も適した方法を意図して、折り畳み技術(この特許は既に権利が満了)を採用したものであると反論しました。

 これに対し、原告は、上記以外の形状の折り畳み自転車製品が市場に存在していることを根拠に、原告製品には独自の創作(オリジナリティ)が認められ、当該製品の形状は、その著作過程において、自由且つ創作的な選択によってもたらされたものであるとして、著作権侵害が成立すると主張しました。

欧州司法裁判所の判断

 裁判所は、製品の形状について、当該形状(少なくとも、その一部)が、製品の技術的効果を実現するのに不可欠であるとしても、『著作者が自由且つ創作的にその形状を選ぶことにより、形状を通じて、著作者の創作的な才能が独自の方法で表現された、本人の個性を反映したもの、すなわち、著作者の知的創作により生み出されたオリジナル作品』であれば、著作権による保護は、原則として、製品の形状に及ぶ、と判断しました。

 この判断に至る過程において、裁判所は、先行の判例を参酌し、著作権による保護が認められるには、対象物がオリジナル作品であること、言い換えれ、ば著作者の自由且つ創作的な選択による独自の知的創作物であって、著作者の個性を反映したものであることが必要十分条件であり、対象物が、単に技術的な理由や、創作の自由を奪うことに繋がるルールやその他の制限のみによって形成されたものであれば、当然ながら、オリジナルの要件が満たされることにならない、と認定しました。

 さらに、裁判所は、本件において、消滅した先行特許の存在や、同一の技術的効果を実現する形状の有無といった事情は、本件折り畳み自転車の形状の選択において考慮された要因を明らかにする限りにおいてのみ考慮されるべきである、と指摘しました。

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