Newsletter vol.104をリリースしました。

Newsletter

特許庁:映画「007シリーズ」と関係なき者による「ボンドガール」の商標登録は無効

特許庁は、映画「007シリーズ」に関する商標権、商品化権及び著作権を有する米国法人Danjaq, LLCが請求した、同法人とは関わりのない個人が所有する登録第5901018号商標「ボンドガール」(第41類:セミナーの企画・運営又は開催)に対する無効審判について、以下のように述べ、商標法第4条第1項第7号違反により、商標登録は無効との判断を下しました。[無効2019-890044号審決]

スパイ小説家イアン・フレミングの作品の中で生み出されたイギリス秘密情報部員ジェームズ・ボンドを主人公とする映画作品映画「007シリーズ」は、1962年以降、24作品が制作され、我が国を含め世界各国において公開され、いずれも高い興行成績を残していることから、世界中に広く知られた映画作品であるということができる。
 そして、作品中の主人公ジェームズ・ボンドの相手役となる女性キャラクターは、「ボンドガール(BOND GIRL)」として、各種雑誌に紹介され、各作品の公開時期に合わせた宣伝を兼ねたイベントにおいても注目されていることが認められる。また、請求人は、ネイル製品、化粧品をはじめ、人形、カード、カレンダー等を取り扱うメーカーに、引用商標に係るライセンスを許諾しており、各メーカーは、「ボンドガール(BOND GIRL)」の顧客吸引力を商品の販売促進に活用していることから、「ボンドガール(BOND GIRL)」の語が一定の顧客吸引力を有していたことも認めることができる。
 そうすると、引用商標は、映画「007シリーズ」に登場する女性キャラクターの名称として、世界的な知名度を有するに至っているものであり、「007シリーズ」は、永年にわたり、途切れることなく制作されていることからすれば、その知名度は、現在も継続しているといえる。さらに、「ボンドガール(BOND GIRL)」は、1962年公開の作品「007 ドクター・ノオ(原題:Dr.No)」以降、一貫して「007シリーズ」に登場する女性キャラクターとして描写されており、「ボンドガール(BOND GIRL)」の語からは、他の観念を想起するものとは認められない
 そして、請求人は、我が国を含む世界各国において引用商標に係る商標を登録し、メーカーに対してはライセンス契約によりその使用を許諾するなど、その商業的な価値の維持管理にも努めてきたものとみることができる。
 このような状況の中で、請求人と関わりのない第三者が、最先の商標出願を行った結果、特定の指定役務との関係で当該商標を独占的に使用できるようになり、請求人による使用を排除できる結果となることは、商標登録の更新が容易に認められており、その権利を半永久的に継続することも可能であることなども考慮すると、公正な取引秩序の維持の観点からみても相当とはいい難い。
 被請求人は、引用商標の世界的な知名度、顧客吸引力及び商業的価値の維持に何ら関わってきたものではないから、本件商標の指定役務との関係においてではあっても「ボンドガール」の語の使用の独占を許すことは相当ではなく、本件商標の登録は、公正な取引秩序を乱し、公序良俗を害するものというのが相当である。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

 一方、商標法第4条第1項第15号(出所混同のおそれ)については、『本件商標は、007シリーズの女性キャラクターとして著名な引用商標と同一又は類似するものであるとしても、引用商標は、請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして使用する商標ではなく、請求人が本件商標の指定役務を自己の業務として提供している事情もない。してみれば、被請求人が本件商標をその指定役務について使用をしても、需要者をして、その役務が他人(請求人)又は同人と経済的、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、役務の出所について混同するおそれはないものとみるのが相当である。』として否認しました。

 また、同項第19号(不正目的による周知商標との同一又は類似使用)についても、『本件商標は、007シリーズの女性キャラクターとして著名な引用商標と同一又は類似するものであるとしても、引用商標は、請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして使用する商標ではない。してみれば、本件商標は、他人(請求人)の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標ということはできないから、本号が適用される要件を欠くものである。』として請求人の主張を認めませんでした。

令和2年度 中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金

 外国出願費用をはじめとする海外での知的財産活動費は高額であり、資力に乏しい中小企業にとっては大きな負担となっていることから、今年も、特許庁は、中小企業の戦略的な外国出願を促進するため、外国への事業展開等を計画している中小企業等に対して、外国出願に要する費用の半額を補助することを発表しました。

  • 【応募資格】中小企業者又は中小企業で構成されるグループ等で、外国への商標出願を予定しているもの(複数可) 
  • 【補助対象経費】外国特許庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費 等 (登録時の費用は補助対象外) 
  • 【補助率・上限】補助率:1/2、上限額:(複数案件の場合)300万円、(1案件の場合)商標60万円、冒認対策商標30万円

  詳細は、こちらをご覧ください。

 海外でのビジネス展開を計画し、商標登録を考えている、また、自社商標の模倣品の対応や勝手に商標登録されてしまっているが、資金的に悩んでいる中小企業の方、是非とも利用をご検討ください。

タイトルとURLをコピーしました